少年はいつも半袖半ズボンだった。
自宅は裕福ではなかったからいつも同じ服装で、腕や脚はヒョロヒョロで折れそうなほど細長かった。
ある雪の日。
やっぱり半袖半ズボンでガタガタ震えながら登校してきた少年を見かねて、若い担任が自分のジャケットを貸そうとした。
すると少年は鼻水を垂らしながら言った。
「先生はぼくを憐れに思ったのだろうけど、これは自分が決めたお金を掛けずに身体を鍛える訓練なので大丈夫です」
冬になったら思い出す。
その後結局風邪を引いて長いこと寝込んでしまい、家族と若い担任に心配をかけた少年のことを。
親切を素直に受け取れなかった、愚かで未熟だった自分自身の姿を。
11/17/2023, 3:20:18 PM