夏の魔法使い

Open App

『すまーとほん』

ここはどこだ。目が覚めたら、布団?の上だった。私は確か、竜宮城で3年過ごした。しかし、地上に残したおっかさんが心配になって、竜宮城を出ることにした。乙姫に帰る際、「すまーとほん」という黒い板をもらった。正直何かわからなかったので使う気はなかった。 陸に上がると、驚いた。高い建物が建っていて、長い銀色の箱が繋がって走っていた。異様すぎる景色を目の当たりにして、吐きそうになった。とりあえず、この辺りを散策することにした。通り過ぎる人は皆、私が持っているのと同じような黒い板を眺めている。道にはさっき見た箱より短い箱が走っていた。吐き気が、どんどん押し寄せる。道の向こうに椅子が見える。箱が来ないのを見計らって渡ろう。今だ! しかし、物凄い速さで箱が来て…
すると、白い服の男が入って来た。男は「あなたはトラックとぶつかって、交通事故に遭いました。命に別状はありませんがどこから痛むところはありますか?」と言った。
意味がわからない言葉が多すぎたが、最後は理解できたので、「ない。」と答えた。「あなたの身分がわかるものがなかったので、いくつが質問させてください。お名前は何ですか?」と聞いてきた。「浦島太郎。」すると、「同姓同名なんですね。次に年齢は?」「24です。」「出身は?」「丹後国」そうやって色々聞かれた。質問が終わった頃から私は男に聞いた。「ここはどこだ? 今日は何日だ? 皆が見ている黒い板は何だ?」すると男は、「もしかして本当に浦島太郎なのか?」と言った。何を言っているんだ?私は浦島太郎だと、さっき言っただろう?困惑していると男はまた、質問してきた。「思い出せる限りでいいので、何があったか話せますか?」私は、竜宮城に行ってから、今に至るまで細く話した。「本物だ!!!」男は叫んだ。「実在したんだ。あれ、でもおじいさんになってない… 乙姫に何か渡されましたか?」私はすまーとほん?を見せた。「あぁなるほど。乙姫は現代に適応できるよう、スマホを渡したのか。面白いな〜。」何だか一人で盛り上がっている。そして、私に向き合って「幸い大きな傷などはないので、このままなら明日、退院できます。しかしここは、2024年。つまりあなたの時代から300年ほど経っています。行くあてがないなら少し紹介したい人がいるのですが…」300年も経っているなんて!これからのことを心配してくれているのだろう。私は男の言う事に従ってみた。
次の日、男を紹介された。「彼は、歴史を研究しているんだ。是非、あなたがいた時代のことを彼に話してほしい。」そう言われた。男は北山というらしい。北山は最初は私が過去から来てことを信じていなかった。しかし、昔のことを色々話したら、彼は驚いて質問してくるようになった。昨日今日といい質問されてばかりだ。その後現代のことを教えてもらった。テレビというものにも出た。すまーとほんの使い方も教わった。そして、何より私は顔がいいらしく、モデルデビュー?した。

こんな浦島太郎もありだろう?

8/2/2024, 1:29:48 PM