sunao

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この国の地中深く、大鯰が住んでいるらしい。
他はどうか知らないが、この土地のものは大鯰というより大山椒魚だと思う。

山椒魚はよく眠る。
でも時々目を覚ましては
『アバレタイ』
と言い出す。
なのでその土地のあたりのいろんな神々が時折鯰を訪れてなだめる。
神通力を使って体を撫でてあげたり、掻いてあげたり、ゆっくり動かしてあげたり。
山椒魚は寂しがりだ。
神々の訪れがないとひどく機嫌が悪くなる。
最近はその神々も数を減らしている。

『ナンカチイサクナッタナ。』
ある神が訪れた時、山椒魚は言った。
昔から一番山椒魚の世話をしてくれた神だ。

神は神通力を使いながら言った。
『私の体は信仰心や願いでできているからね。最近の者達は私を信じたり頼ったりあまりしないのだよ。』
神は続けた。
『それでも、私はよくお世話をされているからね。私の社はきれいだし、信じて頼りにしてくれている人もまだ多いのだよ。
だから私もこうやっておまえの世話ができる。』
『………』
『ナンダカムズムズスル……』
鯰が言い、
『これこれ。』
と言って、山椒魚がかゆいであろうところを神通力を使って神がやさしく掻いた。
『さて、そろそろ行こうかね。』
神を見送った後、山椒魚はいつものように眠たくなって、ふわー、と大きな欠伸をした。



「神様だけが知っている」

7/4/2024, 7:13:11 PM