男はソファーに深々と腰掛け、本を読みながらグラスを傾ける。
満たされていた琥珀色した液体は、喉仏にぶつかる度にゴクリゴクリと音をたて、たちまち透明となった。
ソファーにだらしなく、本当に見ていられない格好で横たわり、漫画を読み、麦茶をがぶ飲みしているパパも、小説の世界ではハードボイルドなおじ様となる。
瞳をとじて生活すれば、人の粗探しばかりの世の中は駆逐され、優しい気持ちが溢れかえる世界が訪れるのかもしれない…。
否!
現実から目を背けてなんかいられない。
「ソファー独占しないでくれる?パパ!」
——— 瞳をとじて ———
1/24/2025, 12:13:41 AM