一ノ瀬 奏

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#4 良いお年を

「良いお年を」
彼に言われた。
あぁ、今年はもう会えないんだ。
そう、わかってしまう。
まだ、二十八日だよ。
また会おうよ。
そう言いたかったけど、彼の笑顔につられて全部かき消した。
そのまま手を振って彼と反対の方向に歩き出した。
一人になってため息をつく。
名残惜しいみたいに白く残った。
家に帰るのが嫌だった。
今年中にもう会えないことを認めるみたいで。
たった三分の道をだらだらと歩いた。

やっと決心して、家に帰る。
部屋に入った瞬間、温もりが身体を包む。
あぁ、エアコンのヒーターつけっぱだった。
なんとも言えない感情が押し寄せてきて、ソファに倒れ込む。
部屋の温もりが、妙に切なくて、クッションに顔を押し付けて泣いた。

結局、会いたいって言えなかった。
何度もLINEを開いて、
今日会おうよ_
と打って消して、
今日暇?_
と打って消して、
_

何も送れずにアプリを閉じた。
ベッドの中でもう一度、スマホの電源を入れる。
12月31日 水曜日。



普段は三日坊主な私ですが、このアプリだけは三日坊主を卒業できました。年の瀬に偉大な成果ですね。
来年はこの調子で、さまざまなこと、三日坊主せずに頑張りたいと思います。みなさま良いお年を。

12/31/2025, 11:43:54 AM