とーる

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ボクが君を助けてあげるよ
苦しいの?
ツライの?
痛いの?
怖いの?
大丈夫さ!君にはボクがいるからね
だからそんなに泣かないで?
ボクは君の味方さ
永遠にね、ふふっ

そう言って私の目の前に舞い降りたのは
膝から下が透けた天使だった
羽も天使の輪もないけれど
私にはわかるんだ、この子はこの世のものじゃない
けれどどこか懐かしさを感じる
なぜだろう、誰かに似ているような…

ねぇ、君はどんな終わりがほしいんだい?
ボクは君に、君の理想の終わりを提供できるんだ
いつどこでどんなふうに人生の幕を下ろしたい?

ニコニコしながらなかなかぶっとんだことを言うこの天使は
ああ、そうだ
君は

…ほほぅ…老衰…
いいね!それが一番痛くも苦しくも辛くもない!
…へえぇ〜ボクと一緒に、死ぬまで…

目を丸くしながらも嬉しそうに照れたようにはにかむ君は
あの日私の目の前で、交通事故で亡くなった恋人そのものだった

ん?え、だ、ど、どうしたの?なんで、泣いて…?

無言でボロボロ涙を流す私と慌てふためく君
なんだかおかしくて号泣しながら笑いが止まらなくなった
そんな私の様子にさらに混乱する君
あぁ、また会えた
あぁ、これが幸せなんだろうか
涙を拭って君に抱きつく
「ありがとう」
掠れた感謝は君に届いただろうか

…うん、どういたしまして

落ち着きを取り戻し穏やかな表情で私の頭を撫でる君
思い…出したのか…?
いや、そんなことはどうでもいいんだ
背中にまわした腕に力を入れる
腕の中の温もりに顔を埋めてまた涙を流した
私の背中を、頭を、優しく撫で続ける君の手はあの頃と変わらない
ふっくらした丸い手
君はこの手を嫌いだと言っていたけれど
私は今でも大好きなんだ

…そろそろだよ

うん、わかってる
意識が少しずつ遠のいていくのがわかる
なんて幸せな最後なんだろう

…おやすみ、──

私は意識を手放した

3/30/2024, 8:00:17 AM