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蝶よ花よ…

私に向けられた『大丈夫?』は、偽りの仮面を付けさせる言葉だ。

どんなに哀しくても、辛くても、落ち込んで沈んでいても、それらを悟られないように…気付かれないように平気な振りをしてしまうからだ。

もう少し上手く、気遣ってくれた相手に甘えたり、隙を見せればいいのに、苦手だ。

いつの時代にも必ずそんな私に、惹き寄せられるように蝶よ花よと育てられてきたと思わせるお嬢様の友達が数人いた。

世間知らずで甘え上手な彼女達には、親が頼んだのかよくわからないが、取り巻きがいつもいて、ちやほやされているのが日常だった。

今までの人生で、確かに両親に大切に育てて貰ったと思っているが、日常茶飯事にちやほやされた記憶は無い。

大人になっても相変わらず、別のお嬢様に出会ったがその頃には世間知らずではなく、何人かのお嬢様は過去に不倫をしている人も数人いて、現在は取り巻きの1人?なのか、長く付き合っている彼がいた。

まるで、別世界だ…私には出来ないし、考えられない事ばかりをするお嬢様達。

一緒に夜、ご飯を食べてお酒も飲んで、楽しく過ごして、さぁ帰ろうかとなった時、どんなに遅くてもましてや、それが朝方だとしても…お嬢様は彼を呼びつける。…えっ?…だ。

帰る方向が別なのに、男らしく一人で帰ろうとする私を制止して、呼びつけた彼の車に乗せられた時は、申し訳なさすぎて縮こまり、もう二度と誘うのを辞めよう!と固く誓ったが、呼び出された彼は嬉しそうで、ちょっと理解出来なかった。

ふと…これがちやほやされるってことなんだなぁとぼんやり思いつつ、私には昔から、己の足で立って生きていかないでどうする?!という信念みたいなものがあって、これまでちやほやされる経験もしてこなかったけれど、それは、それでいいや!と頷いた。

蝶よ花よの反対に、可愛い子には旅をさせよ!の言葉があるように、世の中、そんなに甘くはないんだよなぁ〜と、別世界をチラ見出来て、それもいい経験をしたと、今は、思っている。

つい、私に置き換えてしまう『大丈夫?』は明らかに大丈夫そうじゃない人には声をかけない。

頑張っている人に『頑張って!』を言わないのと同じだ。

大丈夫そうじゃない人には、心の中で(大丈夫かな…)と呟いて、ポンポンと肩を叩いてニッコリ笑顔のエールを送るようにしている。

分かる人には、それで通じるから、それでいい…
全ての出会った相手を蝶よ花よと甘々で接することは出来ないけれど、良い距離感で、これからもエールを送れたらいいかな…と思う。




*読んで下さり ありがとうございます*


8/8/2023, 1:03:39 PM