NoName

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子供の頃、魔女に憧れていたことがある。 

静かな森に木造の小さな家。

なんでも叶えてくれる薬。
怪しげな光を放つ魔法石に
複雑な魔法陣が描かれた魔導書。

クラシカルな本が並ぶ書架。
飴色が美しい重厚な書き物机。
書き途中の羊皮紙。
人の顔くらい大きな水晶玉。
ブロンズのペン置き。
カラスの羽ペン。
コスモを溶かしたようなインクが入ったインク瓶。

星を眺めて吉凶を占い
月夜の晩はハーブを摘み
占いと薬の販売でひっそりと暮らす──

今でも、心惹かれてしまう魔法の世界。

6/23/2024, 11:07:27 AM