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澄んだ瞳
あるゲームの夢小説です(ネタバレを含む可能性があります)


「ねえ、行こう」

彼女は私に手を差し伸べる。
夢にまで見た光景。
しかし、また夢であったらどうしようと不安になる。
それに、君を幾度も傷つけてしまった。
そんな私が手を取るなんて。

「嫌?」

彼女がそう聞いてくる。

「嫌なんて、そんなわけないよ。ただ、少し不安なんだ。」
「「失ったものを悲しむより、ただ喜べばいい」」
「それは…」
「ふふ、聞いたことあるでしょ?
確かに誰かと比べ物にならないくらい僕達には失ったものも多いかもしれない。けど、今二人でこうして外に出られること、僕はこの上ない幸せだと思う」

「まだこの手は取ってくれない…?」

彼女は再度手を差し伸べる。
勇気を振り絞り、彼女の華奢な手を取る。
彼女は満足そうな顔で握り返す。
不思議な感覚がした。
これが当たり前のような、必然であったかのようなそんな。
今まで考えてきたものがすべて覆されるようなそんな。

「さぁ、どこに行こうか?」


どこまでも澄んだ瞳には君と私しか写っていない。
今はただそんな君を見つめながら幸せな時を過ごそうと思う。

いや、きっとこれからも。

7/30/2023, 4:21:50 PM