ひろちゃん

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チョウゲンボウがホバリングしていた
鋭い眼差しで
僕の家の近くの田んぼ
時々見かけてカメラを覗いた

何度もシャッターを切った
心底惚れていた
そのあたりにショッピングモールが建つと
計画されていた

寸前までそこに姿を見せた
そして工事が始まった
多くの人は喜んでいた
人間ってそんなもの

僕だけは少し悲しかった
だって気づいていた
ここ数年であっちもこっちも野鳥の住処は
奪われていった

人は歩みを止めることは出来ない
歩みを止めたとき終末なのかもしれない
そして私が不思議なのは
ほとんどの人がそこに痛みを感じていないこと

空はあの日のままの青空
けれどそこにはもういなくなった
いつのまにか夕暮れが
アスファルトを赤く染めていた

10/15/2024, 1:26:49 PM