月影 零

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君の息が止まった日。
君がベットに横たわって動かなくなったあの日。
僕の目からはとめどなく涙が零れ落ちて、
震える手でナースコールを押して、
君の傍に蹲って声を殺して泣いていた。
君の主治医と看護師さんが来るまでずっと。
ただただ、理解が追いつかなかった。
さっきまで弱々しかったけど話してたのに。
深呼吸をするように、深く息を吸って、
眠りにつくように息を引き取った。

葬式が終わった。
僕がまだ中学生だった事もあり、誰が引き取るかで
少し揉めていた。
僕はそれを遠目に兄さんのことを考えた。
今頃父さんと母さんに会えたであろう兄さんに、
贈る言葉はこれしかないだろう。

-兄さん、また逢いましょうね。
ずっと先の未来で、皆と幸せに暮らせるような、
ここではない、どこかで。

4/16/2023, 11:15:36 AM