『ルールを守ったから』
「はぁ…疲れた〜!」
そう大声で喚く姫様。その退屈色に染まった瞳がすぐさまこちらに向く。
「ねぇ…」
「ダメです」
「なんで〜!?まだ何も言ってないじゃん!!」
姫様は私の襟を掴み、勢いよく揺らす。頭が痛くなるのでやめて欲しい。切実に。
姫様と王様で決めたルールがある。地球から帰ってきたら、仕事を終えるまで何処も遊びにいかないと。私は、姫様がそのルールを守るよう見張れと王様に言われているのだ。
「仕事を終えるまで何処にも遊びにいかない。そういうルールのはずです」
「え〜、ルールって……」
不満そうに机に伏せた姫様。だがすぐに何か思いついたように顔を上げた。
「仕事を終えるまで何処にも遊びにいかないって……仕事が終わったらいっていいってこと…?」
「……ルールはルールですので」
それを聞いた姫様の目が輝く。
そこからの姫様の行動は早かった。今までのんびりとやっていたのが嘘みたいに、仕事を爆速で終わらせた。普段もこのぐらいのスピードでやってほしかった…。
「…はい、大丈夫です」
「やったー!終わったー!」
両手を上げて喜ぶ姫様は本当に嬉しそうだ。
「じゃあ行ってくる!」
「……姫様!」
走り出した姫様を呼び止めると、姫様は目を丸くして立ち止まった。そんな姫様の手に巾着を乗せた。巾着の中からジャラと音が聞こえた。
「これは地球で使えるお金でございます。王様から預かっておりました。
……お気をつけて、行ってらっしゃいませ」
「…!ありがとう!行ってきます!!」
今度こそ姫様は走り出して行ってしまった。
「……幸せになってください、姫様」
沈黙が訪れた部屋で私は頭を深く下げた。
【ルール】
4/25/2026, 9:21:20 AM