🍳たまごかけ🍂

Open App

君の名前を呼んだ日

初めての登校。初めての教室。初めましての人。
初めてばかりの今日に、一番の衝撃を。
少し日差しの強い昼過ぎ、少し残った桜が咲く中庭の真ん中、初めて目を奪われた。

焼き付いた彼女の姿は、可憐で凛として、そしてどこか儚く。守りたいと思わせた。
その感情を突き崩すような、視線が僕の目へ。
吹き抜ける風が僕の目を閉じさせ、気づくともう彼女の姿はなく、ただなびく髪が木の裏に回った事を伝えてくれた。

自己紹介や校内見学、シラバスの確認とか、とりあえず色々やったあとの昼頃、初めての学校はもう帰る時間。
足早に帰るクラスメイトを横目に僕は桜に駆けた。
会えるかも、、と抱いていた淡い思いは、案外簡単に叶った。
まぁ今じゃないけど。

心に残ったあの視線と、あの姿が胸を締め付けるような、包むようなどちらか分からないけどとりあえず、心の周りに漂っている。
そんなモヤモヤを追いかけながら、新しい場所へ。
住んでいた場所から、3つ県をまたいだ学校は通える訳もなく、入寮することになっている。

届いている荷物は既に部屋にあるそうだ。入寮式が始まる前に片付けておこう。
それに同室の人にも挨拶しないと。
貰った鍵のリングを指にかけ、振り回しながら部屋の前に立つ。
「はじめまして!」
大きく声が響くその部屋には誰もいなかった。

モヤモヤと緊張が募る中で、同室の家具を見ながら、、、、
あれ?なんだか少し女性物があるような?
そんな疑念まで増えて、より落ち着かなくなった。
「新寮生は、制服着用の上食堂棟まで」
もうそんなに経っていたのか。
半分ほど片付けたダンボールを置いて、食堂棟へ。

同じ学校の新寮生も、別の学校の子もいる。仲良く出来ればいいなと思いながら、厳かに式は進む。
全員で12人いた新寮生は、男子8人女子4人。
先輩方はだいたいその倍、
「皆さんは、他の生徒と違い寮で、規範や、、、」長い話を何となくで聞いていると。

起立!礼!
危うく遅れそだった号令が響いて、入寮式は終わっり、次は同室の先輩とのディスカッションがあるそうだ。他の寮生のほとんどは、さっきの時間で顔合わせは済んでるらしい。
クラスメイトが先輩と握手し、他の生徒もハグやグータッチなど、なんだか友達のように先輩と話している。

どうやら、寮の手配でできるだけ部活や趣味など合わせてくれているらしい、兄弟や姉妹のように見えるかもしれないなw
そんな事を思っていると、僕の肩を叩きながら先輩が挨拶をしてくれた。
けどその先輩は、少し恥ずかしそうだった。

だってその先輩は紛れもなく桜の木より綺麗な彼女だった。
キョトンとした僕に、先輩は告げる。
「男子の三年が足りなくてだな、、その、、なんていうか、、一番成績の良かった君に、、とりあえず私が付くことになった、、」
モジモジしてる彼女は可愛かったけど、
「もしなにか、やましい事があったら殺す」
と、力強い目で言われた。(怖かった)

先生や寮監などからも、複数の釘を刺され、少し気持ちを引きしめた僕と、緊張しているような先輩と部屋に向かった。
「〇〇先輩、今日からよろしくお願いします」
ここから始まった学校生活と寮生活は、少し甘く時に苦く、稀に痛いモノとなり、
よく食事のときにバカにされるネタとなった。

5/26/2025, 1:15:16 PM