ある日の夜
「明日は少し遠出するよ?準備よろしくね。」
唐突にそう告げられた。
「うん、でもどこに行くの?」
「それはお楽しみだよー。」
「お楽しみかぁ、なら楽しみにしとくよ。」
「うん!」
そう言って彼女は先に寝てしまった。彼女らしいと思いつつ、僕も旅支度をし明日に備えて早く寝ることにした。
次の日
「今日は予告していた通り旅に出ます。準備はいい?」
「うん。」
そういうと彼女は僕の手を引いて歩き出した。新天地に向かう期待と知らない場所へ連れて行かれるというドキドキでいっぱいだった。空はというと少しの雲はあるものの一目で快晴と言える天気で目を瞑れば鳥の囀りが聞こえてきそうなほどであった。
途中まではいつも散歩で向かう山沿いの道を進み、何ら変わらない景色だった。だが今日はいつも渡る橋を渡らず直進し、さらに山奥に進んだ。進むにつれて人影もなくなっていき、木が生い茂った道になっていった。僕は薄暗い場所にいる恐怖心と本当に道が合っているのかという不安を感じた。彼女はというとたわいもない話をしていつも通りニコニコで歩いている。そのおかげかまだ足を止めずに進むことができた。
しばらくすると小さな洞窟のような場所に着いた。
「ここはちょっと暗いから明かりを灯すね。」
そう言うと魔法なのだろうか、彼女は手に光の玉を出し前方を照らした。小さくて丸い光だったがかろうじて足元は見えたので慎重に進んだ。僕はこの世界にもこんな場所があったのかという驚きと突然暗く狭い洞窟に連れて来られたことでますます不安や恐怖を感じた。一度彼女にどこへ向かっているのか聞いてみたが秘密だよっと返されてしまいとにかく進むしかなかった。
〜続く〜
「どこ?」
3/20/2025, 6:08:17 AM