みんなが走り回って遊んでる中
一人でジャングルジムに登ってその様子を見るのが好きだった
あの日も一人で登っていた
そしたら登ってこようとする子がいた
顔は見えなかったから誰かはわからなかった
いつもは自分一人しか登らなかったから珍しいなぁと思っていた
でも少ししても来る様子がない
登るのやめたのかなと思ったけどちらっとみたらまだ登ろうとしていた
どうやら苦戦しているようだ
それでもわざわざ手伝ってあげようとは思わなかった
次の日
また登ってこようと頑張っているようだ
でも、今日も無理そうだ
後二日もすればもう登ってこないだろう
そう思っていたのに、それから三日しても登ろうとしてた
根性があるんだなと少し、驚いた
それから何日か経ってその子は来なくなった
ああ、やっぱり諦めたか
もしかしたら…と思っていたけど仕方がないか
数日後
いつも通りジャングルジムに登った
しばらくはそのままいて降りようかなと思ったら
『よいしょ…やっとのぼれた!』
という声が聞こえた
そこには何度も登ろうとしていた子がいた
ついに登れたらしい
その子と目が合った
あ、やばい
目を逸らそうとしたら笑いかけられた
『やっと話せる!』
え?
『いっつもここにいて話せなかったから』
それじゃあ話すためだけに登ってきたのか
それも何日もかけて
ははっ、ばっかみたい!そのためだけに登るなんて
「きみ、かわってるね」
『それじゃあお揃いだ!』
この日見た景色はいつもよりも良く見えた
【ジャングルジム】
9/24/2024, 10:40:21 AM