好きになれない、嫌いになれない
お前は言った。
「もう一度、やり直したい」と。
壊したのは、
私だったのに、
お前はあの日、
自らを悪者にした。
まるで、それが当然であるかのように。
好きになれない。
だが、
嫌いになれない。
相反する想いの狭間で、
心は振り子のように、
大きく揺れ続ける。
振れる度に、胸の奥で、
鋭い痛みが軋む。
だが、この痛みさえ、
あの日、言葉の刃でお前を傷付けた、
私への罰なのだろう。
赦される資格など、ないと知りつつ、
私はその罰を、抱き締めている。
罰であれ、贖いであれ、
最早、私を救わない。
赦される価値も、
愛される資格も、
私には、無いのだから。
だが、愚かにも、私は、
お前が再び伸ばしてくれた手を、
掴む事も、拒む事も、
出来ずにいる。
好きになれない。
だが、
嫌いになれない。
私の呟きに、
お前は穏やかに微笑んだ。
そして言った。
「『好き』の反対は、
『嫌い』じゃない。
『無関心』だよ。」と。
その瞬間、気付いた。
私は、今も尚、
お前に心を奪われている、と。
好きになれない。
だが、
嫌いになれない。
…そう。
これが、今の私が示せる、
不器用だが精一杯の、
愛の形、だ。
4/30/2025, 6:30:38 AM