僕はずっとずっと待っていた。
いつの日か君とした、遠い約束。
だから僕はその約束を果たそうと、ずっと努力していた。僕が頑張れるのなんて、君の為くらいだ。
そんな昔の遠い約束なんて、今更言わせない。
なのに。
君はあっさり行くんだね。
知らない男とあっさり結婚してしまった。
「お互い30まで独身だったら結婚しよう」
僕は待つつもりだったのに。その為に、誰かと付き合おうともしなかったのに。
君は裏切るんだね。
そんな昔の遠い約束なんて、今更言わせない。
そうだ。だって、30の時に独身だったら僕と結婚してくれるんだもんね。
僕はそっと手にナイフを忍ばせた。
『遠い約束』
4/8/2025, 9:02:52 PM