「聞いた通りだ、君は」
突然掛けられた声に、意外な表情をこちらに向けてくれた。
何かを話し掛けたくて、しかし彼女のそのいつもの雰囲気に躊躇し、ただ静かに見つめていたが、そのうち自然とそんな言葉がとび出てきた。
「へぇ、何を聞いたの?どこで?」
いつもながら性急な話し方をする。彼女にとって、全ての時間は、捜し物の手がかりを引き寄せるためにあるからだ。
横顔ばかりを見せる彼女がこうして正面から覗き込んでくれる。喜ばしいが、同時に少い機会で最高の成果を得たいと焦る気持ち。
「この仕事」
5/6/2024, 4:02:50 AM