トト

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私は藤山寛美(かんび)という役者のファンだった。

藤山寛美は、松竹新喜劇の大スター。明石家さんまも笑福亭鶴瓶も、志村けんも仰ぎ見るような存在だった。

1990年5月、彼は肝硬変で60歳の若さで急死してしまう。

私はその年の2月だったか、京都南座で藤山寛美、直美の親子共演を観ているのだ。

あまりの突然の死に、涙が止まらなかった。



寛美が亡くなった翌年、私はお盆休みを南紀新宮で過ごしたが、最終日は何だか飽きて(南紀はすでに3回目だったので)、東京に帰る前に京都に寄って過ごそうと思い立った。

どうしてその寺に行きついたものか、全くの偶然だった。

京都は良く行く所だから、今さら観光と云うよりも、ただブラブラして雰囲気を楽しみたかっただけなのだ。

だから、何処をどう歩いたかも覚えていない。でたらめに歩いていたら寺の前に通りがかり立て看板が出ていて、

「お盆特別講演 藤山寛美と私 講師 藤山直美」と書いてあったのだ。

! ! ! ! ! ! ! !

入場料無料、講演は、今まさに始まろうとしていた。

寛美の家は京都にあったという。

こんな事が、人生には起こるのである。

(実話です)

3/19/2024, 10:16:48 PM