辛いこと

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ー私の君ー(君は今)

私は毎日君に会う。
君と会う時はいつも、決まったフードコートで君の着ている決まった服装を褒めるところから始まる。
店員の姿はなく、いつの間にか、決まった料理が運ばれて来て机は一杯になる。
君は一度も狂わない。

決まった時間に瞬きをして、呼吸をして、体を揺らす。

君の頼んだドリンクは、決まった時間にシュワッと弾け、決まった時間に氷が揺れる。
君は静まりかえった店内で、

「映画みたいだ」

と控えめに笑う。
私もそれに合わせて決まったように笑った。

君は変わらない。
毎日会っているくせに、学生の頃と変わらない笑顔で

「久しぶり」

私はそれに少し眉を下げる。
異常なほど冷え切った店内。
真夏なのだと認識できるのは、微かに聞こえるセミの声と、窓ガラスの向こう側。
滲んだ景色のおかげだった。

まるであの頃の、夏休みのよう。

「今、なにしてる?」

私は聞く。
決まったみたいに。
君は答えない。

白い光が、瞼の裏に見えた気がした。

あ。

いつもの光が目に入った。
時計は早朝を指している。

今は冬で、あれは夢。

私はそれを、一拍遅れて認識する。
写真の中で、君が笑っていた。

私は再び寝てしまおうと、布団に入り直した。
もう一度、君に会いに行こう。
そして、答えを聞かなければならない。

もういない君。
私は所詮、未来の自分の行動をなぞっているに過ぎない。
君はきっと、私とは違う。
どこまでも自由で、
同時に未来が存在しない。
何も知らずに笑う君が、私はずっと羨ましい。

また、フードコートで君が

「久しぶり」

って笑ったんだ。

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おやすみなさい。21:10

2/26/2026, 12:10:04 PM