小鳥遊 桜

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【君と一緒に】


色んなイベントが流れているテレビを見ていると、君との思い出をふと思い出してしまうことがある。

あの時、遊園地に君が一緒に行こうって言ってたなあ。
あの場所は、君と一緒に行って色んなことしたなあ。
って。色んなこと。

君とは、喧嘩別れしてしまった。
今思えば、すごく単純なこと。
そして、僕が悪い。
家で喧嘩して、僕が出ていって、そのまま別れた。


「思い出すな。もう、忘れよう。」
そう言って、テレビを消して思い出さないように何も考えないように、外に出た。
外は、とても寒くて今すぐにも帰りたかったけど、家にいても何も無い。それに、君との思い出を思い出してしまう…だから、近くの公園まで行くことにした。

公園には誰もいない。
1人だった。
「さすがに子どもも遊ばないよな。」
そう思ってブランコに乗った。
スマホを触る訳でも無く、ただ、ぼーっとしていた。

ふわふわと白い雪が、ゆっくり降ってきた。
「ちょっと、寄り道するか。」
近くの花屋を検索する。
君が好きだったカランコエを買って行く。

君がいる、そこに花を添える。
「今日は、寒いな。」
「君が行きたいって言ってた場所さ、イベントやってるんだって。僕、1人では行かないけど。」
「…なあ。あの日。喧嘩した日。どうして教えてくれなかったんだよ。急に別れようとか好きな人出来たとか色々と言ってさ。結局、君は、最後まで、僕が悲しい思いをしないように言ってただけなんだろ。」
「君が病気って。君が居なくなって君のご両親から聞いて知ったよ。ご両親も、僕に、黙っててすまなかったって言ってたよ。」


「最後の日も君と一緒に居たかった。」
「色んな所に行こうよ。色んなものを見ようよ。君と一緒ならどこでもいいから。」

「だから…お願いだから、帰ってきてよ。」

1/6/2023, 11:47:58 PM