こんにちは。そこの椅子に座るんですね。私とお話してくれるなんて、あなたは親切な人だ。
私は小鳥と暮らしています。黄色い小鳥だったと思うが、青色だったかもしれない。こんにちは、と良く鳴く鳥で、勝手に鳥かごの外を飛び回るんです。
家族は娘が一人います。目に入れても痛くない、本当にかわいい息子で、昨日は公園で鉄棒と追いかけっこをしていたっけ。だっこが好きだというので、よくピザを焼いてやりまして、美味しそうに食べるので、私も美味しかったし、家の中はいつも掃除が大変でした。
ところでお聞きしたいのですが、このキャンディーは何ですか。頂いてよろしいのですか。あなたは本当に親切だ。ああ、美味しいですね、次はロケットに乗りたいなぁ。
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「お加減いかがですか。快方に向かっていますね。」「先生、小鳥は。」
鉄格子のはまった窓から差し込む陽光が、ちらちらと白い壁に反射する。
「薬の量はちょうどよかったですね。」
「先生、私の子は。」
膝の上に抱いていたのは、丸まったシーツだけ。
「このままなら、きっと退院できますよ。良かったですね。」
私とあなた以外、誰もいない狭い部屋。白衣を着たあなたが、サラサラと紙に何かを書き連ねる。白っぽい部屋の白っぽいベッドに座った私に、ノックとともに入ってきたあなたの助手が、口を開けるようにと言う。
「先生、私は、幸せだったんですよ。」
あなたの微笑みに、口の中が苦くなる。
【目が覚めると】
7/11/2023, 3:04:30 AM