シンビジウム

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【夜空を駆ける】

銀色の刃物が切り裂く音がした。
赤い液体がタラリと皮膚の上をつたう。
真っ暗な部屋で、揺るぎない赤が光っていた。

美しくて、眩しくて、思わず目を細めた。

もどかしいほど言語化ができなくて、ありふれた言葉しか浮かばなかった。
つらい。しんどい。

身体と心が追いついていないのがわかる。
自分を大切にする方法を忘れていた。

ずっと、夜が長い。
                       fin.

2/21/2025, 6:23:44 PM