20年近く使っているマグカップがある。
恋人と初めての遠出、その旅行の記念にと買った黒のマグカップ。
「黒にすんの? じゃあオレは白〜」とカップを手に取って笑った彼。数えるほどしか食器がない中、黒と白並んで置かれたマグカップ。
寒い日にわざわざ鍋で温めたホットミルク、暑い日に氷を山程入れて作ったアイスコーヒー、マグカップ2杯分で薄くなったティーバッグの紅茶。彼は飲まなかったハーブティ、なかなか減らなくなった作り置きの冷たい麦茶、冷えた体を温めてくれた友達特製の甘いレモネード。
使う人のいなくなった白いマグカップは何度目かの引っ越しの時には食器用ダンボールから消えていた。
喉を潤し、手を温め、時には安らぎをくれる私の黒のマグカップ。手に、唇に馴染みすぎてもう今更手放せない。
これってお気に入りっていうのかな?
2/18/2023, 1:37:47 AM