John Doe(短編小説)

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惑星エックスにて


くだらない、馬鹿げたことかもしれないけど、これから話すことは決してぼくの妄想や出鱈目なんかじゃないことを前提に、どうか聞いて欲しい。

結論から言うとね、ぼくは宇宙人(厳密には地球人もぼくらからすれば宇宙人だから、敢えてこの呼び方をするけど)だ。きみらは地球人、ぼくの母星は惑星エックスっていう地球とよく似た星の人間なんだ。

でも、きみは今、ぼくは地球人にそっくりじゃないかと思ったことだろう。当然だよな。だって地球人の祖先がぼくらエックス星人なんだから。でも、きみたち地球人より遥かに優れた高度テクノロジーの文明を築いているよ。きみたちはテレポートもテレパシーもできないだろうけど、ぼくらはそれができる。特殊な磁場を発生させて宇宙空間を移動できる乗り物だってあるんだから。

きみら地球人が月面に旗を掲げていたころ、ぼくらは既に銀河系のほぼ全てを植民惑星にしていた。近い将来、エックス星と地球の間で戦争が起きるかもしれないね。なるべく、平和的に外交を進めるつもりだけど、きみらはものすごく攻撃的だから困る。

ぼくの兄、ギグポーニは、地球に潜入している。兄貴、『ジム・ジル・ジェノラータ』なんて名前でアメリカを監察してるんだ。ぼくは『ノグチ・トチロー』って名前でニホンにいる。本名はポサボッドなんだけど。まあ、きみはぼくが頭がおかしいヤツだとでも思ってるんだろ? 顔に出てるよ。

話を続けるね。

でね、ぼくは結局何を言いたいかというと、きみに恋をしたことを伝えたいんだ。きみのグリーンの瞳、すごく綺麗だな。そこで、きみとぼくでエックス星に行かないかい? ああ、ぼくの場合は母星に帰るだけなんだけどね。

嫌? それは残念。だけどきみに拒否権はないよ。さっき言ったけど、ぼくの星の科学技術は銀河系最高レベルなんだ。きみを逃がしはしないよ。

あ、そろそろ部屋に戻らなきゃ。どうやってもさ、この施設から出ることができないけど、いつか出てやるさ。そしてきみを絶対に連れて行くんだから。

やめろ! 今戻ろうとしてたろ! ぼくは掴まれるのが大嫌いなんだ、離せったら!!
チクショウ!!

10/16/2023, 2:19:43 AM