霜月 朔(創作)

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子猫



暖かな休日の昼下がり。
お前の膝の上で、
一匹の子猫が遊んでる。

気儘に動き回る小さな身体に、
お前の心は奪われ、
優しく笑っている。

肉球がふにふにだ、とか、
瞳が硝子玉みたいに綺麗だ、とか。
愛らしい子猫の、
仕草のひとつひとつに、
お前はすっかり夢中だ。

そんなお前を見詰めながら、
お前の笑顔は、オレにとって、
こんなにも、大切で、
愛おしいものだったんだ、と。
改めて、思い知らされたんだ。

…可愛いな。
つい、漏らしたオレの言葉に、
お前は、子猫を抱き締め、
…本当に可愛いな、と、微笑む。

きっと、お前は、
考えもしないだろう。
オレが可愛いって言ったのは、
その、小さな命じゃなくて、
お前のその無邪気な笑顔のこと。
…だ、なんて。

お前も…いつかは、
気付いてくれるのかな。
オレが、ずっと見てるのは、
お前の笑顔だ、って。

11/15/2024, 7:51:46 PM