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「………」
「……………」
自宅の窓からこちらを覗いている女性と目があった。

「あ、どうも~」
とでも言うように控えめに手を振っている。

薄気味悪さを覚えながら窓に近づく。
するとその女性は、へらへらとした笑顔を浮かべながら捲し立てた。


「あ、!あの~私レイコといいまして~ずっとあなたのこと見てたんですよ!かっこいいなーって!あの、それでなんですけど、えへへ、私と付き合ってくれませんか?」

窓は締め切っているはずなのに耳に響く声量で、くねくねと動きながら、勝手に話し続ける女性。

「…あの、それよりも」
「はい?」

「ここ四階ですけど…どうやってここまで来たんですか?ベランダもないのに」


「え?浮いて来ましたよ?幽霊なので」
「……うわ」
「で、付き合ってくれるんですか?」
「幽霊はちょっと…」
「分かりました!人間ならいいんですね!!」
「そういうことじゃ…」


数週間後、その女性は人間の姿になって、今度はちゃんと玄関からやってきた。
告白はもちろんお断りした。なぜか友達にはなったが。


【窓越しに見えるのは】

7/1/2024, 11:22:48 AM