遠い鐘の音
目が覚めるとみんなもう教室にはいなかった。また起こされなかったな、と思うも今日はこれ以上ゆっくりしてられない。鍵を職員室に戻して早く帰らなくては。窓から刺さる激しい西日が目に痛い。グラウンドで戦う運動部の群れが現実に引き止める。帰り支度をし、鍵を戻して門を出るとチャイムが鳴った。チャイムを追うように校歌が始まり、近隣住民の迷惑を考えていないのだろう、歩いて20分のところにあるコンビニにいてもまだかすかに校歌が聞こえた。ここに来なくなっても、自分の青春はどんなだったかを思い出す時にこの風景が脳裏をよぎるのだろう。夕焼けとチャイムと、遠くから聞こえる校歌。最寄りの駅、帰りによく寄るスーパー、コンビニ。自販機のサイダー。みんな過去になる時がくる。それはどこか遠い現実で、実感しがたいと思えた。
12/13/2025, 11:51:39 AM