#2 光と闇の狭間で
この感覚が苦手だ。舞台袖での緊張。意識が遠のいていく感覚。
___かつて想像していただけの世界から飛び出して見たあのステージは、どうしようもなく“光”で。自分との差を痛感した恐怖とわずかな興奮。地下で、闇でしか生きられない私には到底手の届くものではないだろう。人の目が怖い。醜い私が、怖い___
「さあ、私も、光の中へ」
『礼瀬マヨイ』の幕が上がる。一瞬で歓声と熱気に包まれて、ステージライトに肌がジリジリと熱い。
さあ始めましょう、私の歪な物語を。もう、1人ではないのだから。
12/3/2023, 12:15:47 AM