すい

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君はあの時、"またね'"とは言わなかった。

でも'"さよなら"もくれなかった。

そうやって曖昧に繋ぎ止められた関係は、
きっと君が忘れて静かに消えていくものだと思ってた。


なのに、ねぇ……なんで。

私たちはどうして今だに終われないの?

ちゃんと前に歩いてるはずなの…振り返らないように、
何度も自分に言い聞かせながら。

でも気づけば、君の影を踏んでしまっている。


やめて、やめてほしいの。

私は君に失望した、
自分でも呆れるくらい深い場所で君を憎んだの。

なのに、君の声が泣きたくなるほど嬉しいのはどうして。


あの日…。

あなたが冷めた視線を落とした、何度目かの最後。

そして私がようやく、君に向かって差し出していた手を
自分の意志で引っ込めた時。

そこには"またね"の余韻なんてなかった。

もう今度こそ"次"なんてないんだと思った。


恋焦がれて仕方なかった君の声、大好きだったその温度。

全てがとっくに私の手にはなかったのに。


ねぇ、君は私に何を望んでいたの?

君があの時描いていた未来に、こんな関係は存在してた?


手放してよ、私のこと。

私の手を握り返さないだけじゃダメ。

ただそっと手を離すだけなんて、そんなのずるい。

ちゃんと、振り払って。

私に向けていたあの冷めた瞳と同じように。


生ぬるい優しさ、中途半端な正義、そして自分よがりの嘘。


私たちはどこかで終わらなきゃいけなかった。

誰かを傷つけてしまうくらいなら、
その存在を忘れるべきだった。


"さよなら"って。

今度こそ、そう言ってよ。




                     ___またね

8/6/2025, 1:57:20 PM