「隠された真実」
どうして無視されなきゃいけないんだろう。
クラスの人たちはみんな私が見えないかのように過ごしている。
先生だってそう。
私の席がないのに何もしてくれない。話しかけても変な顔をして行ってしまう。
私だって普通の子どもなのに。
毎日悲しくて泣きながら帰る。私もみんなみたいに遊びたい。
でもだれも誘ってくれないし、私から話しかけても「うわあ!」と逃げられてしまう。
「ただいまー」
今日も何も起こらないまま家に帰る。
父さんは目がとても悪くて私がほぼ見えない,
「あれ、どこだ?」
「ここだよ、父さん」
「ああ、声がしないからどこに行ったのかと思っていたよ」
「学校だよ。今日も何もなかった」
「そうかい。勉強熱心でいい子だね」
ふわふわと手がさまよって私の頭をなでる。
こうやって触れられるたびに私はまだ存在していると思えるのだ。
「さて父さんは仕事に戻るよ」
「うん。行ってらっしゃい」
父さんは光の研究をしている。
全ての物体は光を反射させてそれぞれの色を出しているのだ。まったく反射しない物体なんて存在しない。しかし父さんは新たな物質を作りだした。
世界的大発明で自慢の父さんだ。
でもあまり家にいないのが寂しい。
ずっと頭を撫でていてほしい。
家が退屈なので公園に行ってみた。
「今日も聞こえた?」
「うん!聞こえた」
「やっぱいるよね!」
「うんいる」
クラスメイト数人ががなにやらひそひそと公園の片隅で集まっている。
「今度返事してみようかな」
「え?やめときなよ」
「絶対悪い奴じゃないって!」
「でも教室にすむ幽霊なんて怖いじゃん!」
へえ。教室に幽霊がいるのか。少し気になるな。
話しかけてみようかな
「ねえ、それ!幽霊じゃなくて透明人間かもよ!」
7/14/2025, 8:04:34 AM