目の前で描かれる世界のなか。
流れる“生”を演じる人物に目を惹かれた瞬間、するりと視線が合った。
舞台の上から客席の相手を見ようとするとき、一体どう見えるのだろう。
その頭上に光輝く熱量が眩しすぎて、いつかの私の体験からすると、あまりよく分からなかったと記憶している。
私は、その「物語」を観ている名も無き一人だ。
それでもただ、またたきにも満たない時間だろうとも、この今のひとときを忘れられないなと思えて。
誰かが、異なる誰かの姿をなぞらえて生きる。
きらめくような命のチカラを、目撃したのだから。
【刹那】
4/29/2024, 9:40:41 AM