『落ちていく』
「桜の花びら舞い落ちる度に風情と哀愁を感じるんだ。」
かつての春。桜が大好きな友人が桜の雨を浴びながら悲しそうに桜を見あげていたことがあった。
その時はあまり共感出来なかった。
今まで花に興味がさすことも自ら花について調べることもなかった。
ただ今年は彼女ができて2人で紅葉狩りに出かけた。
花について詳しく知らない俺を彼女は花の良さを熱弁してくれた。
あまりの勢いに興味をそそられ花を学ぶことにした。
花びらの形、香り、色合い...彼女には負けるが色んな花を知っていくようになった。
道中にはコスモス、キキョウなどの秋の花が綺麗に咲いていた。
それぞれの香りや色が秋を染めていくようで、
ずっとこんな素敵なものを見逃してたと思うと今まで勿体ないことをしてしまったと感じる。
他の花を見ながら目的地付近を歩いている時に彼女が俺の肩を叩く。
「ねえねえ!上!」
彼女の指を指す方を見あげると、紅葉がヒラヒラと落ちてきた。
一、二枚じゃなく数え切れないほどだ。
彼女が両手を広げくるくると回る。
楽しそうで見てるこっちは笑みがこぼれてしまう。
ヒラヒラと舞い落ちていく紅葉を見つめていると
友人の言葉を思い出した。
舞い落ちていく紅葉は風情を感じる。
けれど...地に着いた紅葉はどこか寂しさを感じてしまう。
なるほど...
友人の言葉を今知った俺は寂しさを埋めるように彼女の元へいき一緒に紅葉の雨を浴びた。
この雨の中彼女といれば、きっと寂しさも洗い流せれるから。
語り部シルヴァ
11/23/2024, 12:51:05 PM