美雲

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その日の日中は冬にしては日差しが暖かくて澄んだ空をしていた。息を吸うと冷たい空気が肺に届くがそれでも暖かくは感じる。今はもう夕方と言っても可笑しくない位だが、それでも普段は寒くて自然と足速に歩いているけれど今はいつもよりも比較的ゆっくりめな気がしている。こうやって歩いていると近くの店では何かしらのイベントをやっている。毎回火曜日にしか来ないからかも知れないがイベント事はすぐに変わっていって、ハロウィンが終わった翌週にはもうクリスマスムーブになっていた。そうやってころころ変わるイベント事の商品を見ながら歩くのは私の楽しみの一つだ。火曜日だけとはいっても毎回此処に来ている訳ではないから尚の事思う。ただこれを目的としているわけではない。今日は待ちに待ったデートの日なのだ。たかが一週間の筈なのにもう何ヶ月もあってなかったかのような気がする。わくわくしながら待ち合わせ場所に行くと彼が居た。彼は私に気付くと此方に向かってくる。相変わらずつんつんした態度ではあるもののそれがなぜか嬉しくてたまらない。そんな表情をしていたからか不思議そうに顔を覗き込んできた。いつもなら何かしら文句を言っていたかも知れないが今日は特に特別な日だから。少しの間互いに沈黙したままだったが彼が口を開いた。
「、、そんな顔してどうしたんですか?いつもなら怒って何かしらの文句を言ってくるじゃないですか。」
病気かなにかかと悩んでいる彼の顔からは困惑の表情がありありと見てとれた。そんな彼を見ていると何というか逆に凄いと思った。こんなにも大事な日を、少なくとも私は絶対に忘れる事はないだろう。何を隠そう、今日は彼の誕生日なのだ。ただ誕生日を忘れているのもそれはそれで彼らしくって笑いが込み上げてくる。それを見て更に困惑する彼に言う、
「誕生日おめでとう!」
それを聞いてようやく今日が何の日か分かったようだった。それでもまだ固まった彼にラッピングされた袋を差し出す。そのプレゼントを受け取るとまだ困惑と嬉しさが入り混じった顔をしていた彼はプレゼントを信じられないと言った様子で見ながら
「ありがとうございます。」
と耳まで真っ赤にして顔を俯かせていった。そんな彼がたまらなく可愛い。こう見ると小動物の様な可愛さをしていてつい抱きしめてしまいたくなる。だか彼はあまり抱きつかれるのが好きではないらしいので我慢する。ただついつい小動物の様に見てしまっていたのか少しずつ調子を取り戻していたらしい彼に不満げに見つめられる。そんな姿も可愛らしい。ただいくらなんでも今は冬でいつまでも外にいると風邪もひいてしまうかも知れない。それに元々、今日は一緒に彼の好きなスイーツ食べ放題の店に行こうと約束もしていたわけだし。そろそろいかないかと提案するとその事を忘れいたかのようで急にソワソワしだした。早く行きたそうだったしその店に行った。どちらからという訳でもなく手を繋いでいると時間が心地よくてずっと続くような安心感に包まれていた。彼の手は暖かくて優しい温もりで溢れていた。


冬晴れ

1/5/2026, 4:19:18 PM