8/7 お題「最初から決まっていた」
どうやら、運命の女神は最初から私の最期を決めていたらしい。
定められた婚約者に会いに行き、そこで濡れ衣を着せられ投獄された。私は妾腹の末子ゆえ、死んだところで故郷がそう困ることもない。むしろ邪魔者が消えることに喜ぶだろうか。
牢の窓から月を眺めていると、何やら廊下が騒がしい。息を潜める。押し問答の気配の末に扉が開き、そこに現れたのは―――
「お助けに参りました」
「……姫?」
少ない共を連れて、婚約者は一礼すると、花のような笑みを見せた。
「最初から決めていたのです。こんな事態になったら、お父様を捨ててあなたを助けると」
驚いた。どうやら、私の運命の女神は彼女であるらしい。
(所要時間:8分)※構想除く
8/8/2023, 3:44:59 AM