ミミッキュ

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"夢見る心"

 『たまにメルヘンチックな事を言う』と言われる。
 自分でも、言ってしまった後に『今ポエミーな事言ったな』って気付いて恥ずかしくなって消えたくなる。
 学生の時からよく小説を読んでいたからか、はたまた高校生の時にファンタジー系のものを好んで読んでいたからか、言葉選びが詩人のようになる。
 返却された感想文やレポートの空白に赤ペンで『的確で綺麗な言葉選びで読みやすい』的な事をいつも書かれていた。
 高校卒業以降は流石に恥ずかしいので意識して直していたが、時々意識し忘れて詩人が書いたレポートになってしまって、けれど気付いた時には時すでに遅しで全部直す訳にもいかず結局そのまま提出という最悪な流れが出来上がってしまった。
 教授達には好評だったが、俺は恥ずかしくて酷い時は『休みたい』とその場から逃げたくなっていた。
 医者になってからは、仕事モードに入る事で抑え込む事ができていたが、休憩時間中や勤務時間外に書く時は凄く慎重に書いていたし、何度も何度も読み返していた。
 医師免許を剥奪されてからも、抑え込む事に成功していて、安心しきっていた。
 だが数年経って、その安心は消え去った。
 文書上は取り繕えても、言葉になって口から出てきてしまう。
 今でも小説はよく読むから、自然と口から出てきてしまうのだ。
 どうやったら抑え込めるのか分からないのでどうする事もできないが、ごく一部の人間の前でのみなので『もうこのままでいいや』と諦めている。
 別に直そうと思ったのは、最初は恥ずかしいからで俺自身は嫌いでは無かったし、今も嫌いでは無い。だが今は年齢的に、この言葉選びはどうなのか。
 あまりにも痛すぎる。
 そろそろ口にしないよう対策しなくては。

4/16/2024, 1:43:32 PM