「ねぇ。もし世界が明日終わるならどうする?」
突拍子もない質問だな。そんなの決まっているだろ。
「好きな人と最後を迎える」
「諦めちゃうの?」
「諦めじゃないよ」
これは諦めじゃない。世界なんて大きな物が壊れるなら人の力じゃ無意味だ。無駄な努力より好きな人と最後を迎えた方が何倍も良い。
「そっか…ねぇ。寂しいね」
寂しくなんてない。一緒なんだ。それなら怖くもない。
「……そんな悲しい顔しないでよ」
顔に手が触れる。冷たい…人肌から熱が抜けていく。
「ねぇ…諦めないで…いつか、また会えるから…」
会える。なら、ならなんで……君は泣いているんだ。
「怖いけど、本当に怖いけど…また会えるから。絶対…だから、今は、少しだけ離れよ…?」
…なんで君はそんなに強いんだ。
「強くなんてないよ…ただ貴方がいるから。また会えると思うと力が湧いてくるの…希望が、出てくるの、ねぇ。約束して。また会えるから…今は…今…」
顔に触れていた手が滑り落ちる。咄嗟に手を握るとそこには力なく、冷たい手が…
「わ、分かったよ……少しだけ…少しの間だけだからね……寂しくなったら…いつかまた、会いに行くから…待ってて」
9/19/2025, 6:16:28 AM