→短編・あなたが落としたのは……
「あなたが落としたのは、夢ですか? それとも現実?」
近所の裏山を散策中、すっ転んで山の斜面を滑り落ち、尻もちついたところが湖で、私の中から何かがぽちゃんと湖の中に落っこちた。
そしたら女神様が出てきて、さっきの選択を迫ってきた。
「えーっと、自分でどっちを落としたのかわかんない時はどうしたらいいんですかね?」
女神様は両手にキラキラ光る玉を胸の位置に掲げ、小さな子どもをあやすような穏やかな声で言った。あの両手のヤツ、どっちが夢で、どっちが現実なんだろう? 両方ともキラキラしてるけど。
夢と現実、どちらも必要だけど、選べるんなら答えは決まってるかな。
「そういう時は直感重視……」
「マジか!?」
ヤベッ! 神様相手に食い気味に言っちゃったよ。
コホンと咳払いの女神様。そして、そこはさすがに神の懐の広さでニッコリと笑った。「直感重視の人もいますが、やはり私は現実をお勧めしますよ」
「やっぱそーですよねぇ」
私は釣られて愛想笑いを浮かべた後、自分の選択を伝えた。
「私が選ぶのは………」
おっ、空にクジラが泳いでる。いいねぇ〜。
私、昔から漫画の主人公になりたかったんだよなぁ〜。世の中、何があるかわからんもんだね。夢叶っちゃったよ。
裏山をおりた私は、ご機嫌で帰路についた。
テーマ; 夢と現実
12/4/2024, 3:39:11 PM