私の周りで波がちゃぷちゃぷ揺れている。
見渡す限りの気持ちのいい青色
私の周りはこんなにも明るくて幸せそうなのに、私は不幸せだ。
なんで生きているのか分からなくなったから、私はこうして地平線に向かって歩いている。
腰まで浸かってきたあたりで、私は握りしめていた小瓶をそっと話した。
中には手紙が1枚しか入っていないから、陽の光を受けながら浮かんでいる。
波が寄せては引いて、引いては寄せてを繰り返して、そのうち、小瓶は見えなくなった。
この手紙が、誰かに届くといいな。
最後に誰かの心に残るように。
生きていたくないけれど、死ぬのも怖くて。
せめて海の底に沈んでからでも、誰かの心に触れたかったんだ。
海が好き。花が好き。桜が好き。
好きな物、沢山あったな。
最期ぐらい、綺麗なものに囲まれたくて。
数え切れないほどの桜の花びらを水面に残して、私は海に沈んだ。
やがて花びらは1枚ずつ落ちて、消えてしまった。
誰の目にも映らずに。
2025.2/18 手紙の行方
2/18/2025, 1:27:46 PM