沁み圖書房

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飛べない翼

私はポストアポカリプスな世界観の作品が好きだ。
ポストアポカリプスとは、滅亡した後の世界を描いた作品のことを指す。滅亡した理由は一概には言えず、核兵器使用によっての滅亡や、隕石が落ちて滅亡するなど、多様である。

壊れてしまったが、かつて存在したと思われる文化や文明を、静かに消えてゆくまで、そっと語り継いでいく。そういう在り方をしている物語が好きだ。
生きているものも、物資も、食料も、移動手段も、全てが制限された世界の中、たった1人で、今手に入る物を、生きる為に探す。
歴史ある遺物や無機物から生物とは違う息遣いが聞こえてくる。嵐が去った静けさが横たわる世界観は寂しさの中にかすかな希望の光が見える。
ただこれはフィクションだから楽しめているし、好きだと言えることなのだ。

今生きている世界で、自分の今ある環境が壊れてしまったらと考えると心の底から恐ろしい。
戦争は終結して欲しい、疫病も食糧難も、本当の意味で解決し、世界が平和になれたならと祈っている。

ファンタジーだから、終わってしまった非科学的な世界を想像することが出来る。

滅亡した後を生きることは、例えるならば、飛べない翼を背負った世界の形なのではないだろうか。
今、戦争が起きているこの世界が背負っている翼は、傷ついても痛くても何度でも、平和を望む人類が生き続けている限り、
大きく広げて、飛び立つことが出来る翼であると信じている。

いつかはこの地球の寿命が来て、本来の意味での滅亡が未来にあるのだろうけれど、それは人類によって終わらせた結果にあるものではないと、信じている。

11/11/2023, 2:55:11 PM