はじめまして!
私はあなたの身の回りのサポートをするお手伝いのようなものです!
なにか不便があったら気軽に言ってください。
私は、母へ笑顔でそう言う。
母は聡明な人だった。
物心ついた頃には、父が居なかった私に不自由をさせないために
1日中ずっと働いて、いつでも笑顔を絶やさない人だった。
私が働きはじめても、生きがいだと言って仕事をしていたが、
母の職場から連絡があった。
最近物忘れが激しいように感じると。
母も実感はしていて対策をしているが、改善しているようには思えない。
私からも説得をして、一度検診を受けてみてほしいと。
何もなければそれでいい。試しに行ってみよう。
そう言って、病院に行った。
先生から、年齢によるものである可能性よりも、疾患によるものである可能性が高いと言われた。
簡単な検診だったので、今後詳しく調べないといけないと。
結論から言えば、年齢による物忘れではなかったのだ。
それからは、進行をできるだけ遅らせることしかできない治療をすることになり、母の希望で自宅療養を始めた。
実家に戻って、リモートでもできる職種に転職して、母との会話をたくさん増やすようにした。
症状として、私のことを忘れてしまうことは知っていた。でも、実感はあまり湧いていなかった。
だから、母から誰?と言われたとき、顔が強張って何も言えなかった。
段々と、私を思い出せなくなってしまった母に、説明をして、思い出させる気力がなくなってしまった。
はじめましてって言えば、少しは楽になれるかなって。
昨日も、今日も、明日も、その先も、これからも母の側にいたいから。
4/2/2025, 7:41:45 AM