私はよく居眠りをする。
旦那が運転する車内で、
新幹線の車内で、
飛行機内で。
私にとって、移動時間は睡眠時間。
うつらうつらと眠くなり、眠っては起きて、起きては眠ってを繰り返す。
旦那の運転が荒過ぎるが故の移動中の睡眠は、乗り物酔いしやすい私が編み出した対処法。
(いつの間にか、乗り物全般に適応したのは些か困っているけれど)
移動中に目を覚ませば、
そこはもう見知らぬ世界の旅の途中。
長い長いトンネルの中を走っていたり、
海岸沿いのビューポイントだったり。
瞬間移動してる楽しさは、私の居眠りがないと始まらない。
家族で旅行に出かけたその日、目が覚めると車はSAの駐車場に停めようとしているところだった。
車から降りると、聞き馴染みのない方言が私の知らない抑揚で飛び交っている。
幟で推されている名物は、私の知らないB級グルメ。
炭火の美味しそうな匂いに誘われてキッチンカーを覗くと、良い塩梅に焦げ目のついた大ぶりのお肉!
食べたら旅館の夕食が食べられなくなっちゃう?
魚介食べ放題のプランなのに、それは避けたい。
いやいや、こんなに美味しそうなのに食べないなんて勿体ない。
とりあえず一旦冷静になろう。
その場を離れて自販機でお茶を買おうとして、和紅茶のペットボトルを見つける。
へぇ、珍しい。
コレを買って、さっきのお肉は諦めて…
頭の中で折り合いをつけていると、さっきの美味しそうな匂いが濃くなった。
振り返ると、別行動をしていた娘がパッキングされた物を持ち上げた。
「お母さん、お肉食べたかったんでしょ」
「バレてた?」
「バレバレ。味見しよ」
「うん」
口を大きめに開けて、ひとくちづつ皆んなで頬張る。
決して満腹感が出ないように、遠慮がちに名物をシェアして、思い出を貯金する。
旅の途中。
それはスタンプラリーのようなものかもしれない。
立ち寄るけれど、ゴールはまだ先にあって、ゴールから逆算しながら楽しむという過ごし方。
旅の途中
2/1/2025, 2:54:15 AM