「こんな夢を見た」から始まる小説

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こんな夢を見た。何を見ても怯える幼い私に、母はいつも優しくこう言い聞かせる。
「いい?怖いものは怖がることで見えるのよ。怖がらなければ、見えないの」
気がつかなければ、居ないも同じ。母はそう言いたかったのだろう。そうは言っても顔や足、手が家具の隙間から覗いていたら怖い。私が怯える度に、苦笑しながら同じセリフを繰り返す。母は見えていないから、そんなこと言えるんだ。そう思っていたが、私は気づいてしまった。いつも私が怯える場所に、母が何気ないふりをして塩を撒いているのを。

3/30/2026, 11:19:39 PM