木枯らし
ピュウッと木枯らしが吹き荒ぶ
「寒い~っ!」と言いながら私達は
体を擦り合わせ 両手を摩る
「早くバス来ないかなあ~」
「遅いねぇ~」
「何かあったのかなあ~」
私達女子三人は、予定時刻より遅れている
バスをバス停で待ちぼうけを食っていた。
制服のスカートから出る素足を
厚手の靴下やタイツで誤魔化し
寒さを凌ぐ女子三人
よくお洒落は我慢とか言うけど...
私は 校則で決まっていなければ
喜んでズボンを履く派だ
現にスカートの長さも私だけ指定の
長さに降ろしていた
それでも スカートの下から入ってくる
風は、堪えるので 厚手のタイツ靴下で
頑張っている。
やはりお洒落をしていなくても
スカートを履いている限り女子は
冬は、我慢の様な気がする....
ああ 男子に生まれたかった。
そんな下らない事を悶々と考えて
寒さを記憶から追い出していると
友達の一人が....
「あっバス来たよ!」
一方向を指 指して言った。
やっと目的のバスが来たらしい...
自動ドアが開き 乗り込む時
運転手さんから
「道を開けて下さい!」と指示があった。
見ると歩行器を引いて歩くおばあさんの姿があった。
傍らには、息子さん いやお孫さんだろうか 二十代位の男性がおばあさんに
寄り添って手を引いて 階段が
あるので まず一旦おばあさんを
手を繋いで降ろしてから
おばあさんが引いていた
歩行器をお孫さんが降ろしていた
次に幼稚園の年中組だろうか
園の遠足でもあったのかなあ....
小さな子供達が ちょこちょこと
小さい歩幅で保育士さんの手を
借りて一人ずつ降りて行く
そうして みんな降り終わった所で...
おばあさんとお孫さん
幼稚園の保育士さん園児達が
一斉に 「ありがとうございました」と
挨拶して去って行き
最後に運転手さんが
「御協力ありがとうございました」と
乗車するお客さん達に声を掛けていた。
私達 三人は、顔を見合わせ
このバスが遅れた理由を察する。
そうして 三人で顔を綻ばせ
バスに乗り込んだ。
そうしてバスは 発車する。
いつの間にか私達三人は、
木枯らしの風の寒さが気にならなく
なっていた。
それどころか胸の中心がぽかぽかと
暖かくなっていた。
1/18/2024, 12:05:56 AM