夜明け前。
たぶんこの世で一番、憂鬱な時間。
夜が明けてしまう。行ってしまう。行ってしまったら、今度はたくさんの嫌なことがやってくる。
毎朝の頭痛。用意されない朝食。陽気な声で8時を告げるテレビのアナウンサー。学校に行く同級生。ため息をつく親。全てが鮮明に思い出されて、吐きそうになった。
まだあたりは薄暗い。しかし、先程より格段に、また確実に、夜明けは近付いてきている。
ひとつ、ため息をつく。そして、意味もなくいじっていたスマホの電源を落とす。このまま二度と目覚めないことを願って、もう一度布団の中に潜り込んだ。
(「夜明け前」でした!)
9/14/2024, 11:39:05 AM