ソファでぼんやり天井を見上げていると、恋人が炭酸水を持ってきてくれた。
「もう九月ですねぇ」
「まだ暑いけど夏も終わっちゃうんだねぇ」
彼女から渡された炭酸水を口に含みながら、彼女の言葉に返事をする。
そういえば、今年は暑さで仕事が忙しく、夏休みになーんにもしてないって思い出した。
お医者さんは人が休みの時ほど忙しいんだよね。
夜の皆さんは熱中症に気をつけて欲しいところです。
目だけを彼女に向けると、隣に座った彼女は同じように炭酸水を飲んでいた。
夏の思い出がない訳じゃないんだけど……。
「ねえ。今度有給取って遊びに行かない?」
「え、いいんですか。と言うか、大丈夫ですか?」
ま、まあ時間が取れるか取れないかと言えば俺の方が取れないからね。その心配はあるよね。
「さすがにそろそろ休めるでしょ」
まあ、実際に休み返上している日もあるから、許されるとは思うんだ。
彼女はパァっと花開くような笑顔を俺に向けてくれる。
「やったー、嬉しいです!!」
彼女が俺の腕に手を絡めてぎゅうっと抱きついてくれる。
「遅くなったけれど、残っている夏を探しに行こうか!」
おわり
四七三、夏の忘れ物を探しに
9/1/2025, 12:43:32 PM