星蒼楼

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「うわ、寒いー」
 木枯らしが吹き、世の中に冬の訪れを告げる。
「もう秋も終わりだね」
「そうだね、そろそろ本格的に寒くなるんだろうなー」
 冬は嫌いだ。冷え性だから体は冷えるし、朝にTシャツ一枚選ぶだけの服装で過ごせない。寒いから温かい飲み物を飲みたいところだが、猫舌なので飲むのが億劫で結局体を冷やしてしまったり。
「そうだ! 冬になるってことは、誕生日にもらったマフラー、やっと使えるね」
「あ、ほんとだ。忘れてた」
「あげた本人が忘れないでよー」
「だってあげたの夏だし」
 今年の夏、季節外れなのになぜかやっていた冬物バーゲンで、恋人に似合いそうなマフラーに出会ってしまい、どうしてもプレゼントしたくなったのだ。
「もらってから、ずっと冬が楽しみだったんだ。早く着けたところ見てもらいたくて」
 そんな反則級の言葉もしれっと言っているようで、決してこちらと目が合わないのがどうしようもなく愛しい。
「僕も楽しみ。君が僕のあげたマフラーつけてるとこ見るの」
 耳まで赤くなってる君の頭をくしゃっとなでて、腕の中に抱きしめると、さっきまでの寒さも感じないようだった。

1/17/2024, 4:02:45 PM