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温もりの記憶

公園のブランコで置き去りになって揺られている手のひらサイズのぬいぐるみキーホルダーがあった。まるでわざわざ捨てていったかのように板の真ん中に倒れないように座らせられていて、風でキコキコ揺れている。それを僕は哀れに思って家に持って帰って洗って干した。

「ふーん、やさしいね。でも持ち主が探してるかもよ?そしたら元の場所にないと困っちゃうと思うけど」

「ひとつになってもらったからきっと寂しくないよ」

「は?なにが、なんの話?」

乾いたぬいぐるみを小学生のとき使ってた裁縫セットの布切りバサミで開き、綿を取り出し継ぎ接ぎされたぬいぐるみに綿を移した。空になったぬいぐるみの皮は小さく切り刻んで縫い直し、ぬいぐるみの靴下になった。継ぎ接ぎのぬいぐるみは今では人の頭ほどの大きさである。今まで生きてきた集大成だ。落し物箱にある、いつからいるのかも分からないぬいぐるみを持ち帰って切って自分の作品にするのが好きだった。継いで剥いでくっつけて。小さな落し物が自分の手でひとつになっていくのはなんだかとても達成感のあることだったのだ。

「…お前ってやっぱ頭おかしいよな。そりゃ友達いないわな」

「は?いるし」

「頭のネジどっか外れてるやつって案外近くにいるのな。ぬいぐるみの持ち主のこと考えないの?」

「リサイクルだよ。落としたもの大事にしてもらって喜んでるよきっと」

「きもー笑」



12/10/2025, 11:06:12 AM