ひょっとしたら次回に続くかもしれないおはなし。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、世界線管理局という厨二ふぁんたじー組織がありまして、
どこかの世界と別の世界を繋ぐ航路を敷設したり、
航路上の世界が滅んだらその航路を封鎖したり、
その世界からこぼれ落ちたチートアイテムが他の世界に影響を及ぼす前に、回収したり。
要するに世界線管理局は、世界に関するいろんな仕事を、本当に色々としておるのでした。
さて。
そんな世界線管理局には、滅亡世界からこぼれ落ちた難民のためのシェルターが、
文字通りの超地球規模な広さで、
人工的な太陽と月の運行システムまで導入されて、
日本と区分の数こそ違えど季節の移り変わりがあり、
ちゃんと、積雪した山も存在するのでした。
で、
「日の出」というお題ですので
もちろん今回はその雪山のひとつから、
白い息を吐き、焚き火にあたって、
温かいコーヒーなどすすりながら、
日の出を待つ複数名が、ちょうど在りまして。
「見えましたよ」
バチ、ぱきん、バチ、ぱきん。
焚き火の薪の世話をしながら、雪山キャンプのリーダー役が、遠くの山のてっぺんを指しました。
「ほら。あの向こう」
リーダー役は、管理局の法務部執行課、実動班に勤めておりまして、「ツバメ」のビジネスネームを貸与されておりました。
「じき、山全体が赤くなります」
ああ、やっと。
去年まで別の職場で働いておった女性、アテビが、遠いとおい山の先を見て、息を吐きました。
まだ空は薄暗く、日の出の反対側では星が、チラリちらり、まばらに残っていました。
ところで彼女の隣では
経理部のヒョロいボクっこマンチカンが
寒さでぷるぷる、心細さでカタカタ、
もうひとりの女性と手を取り合っていますし
その「もうひとりの女性」はといえば
ツバメが生涯の推しカプのひとりでありまして
尊みでぷるぷる、過呼吸気味でハァハァ、
心を鎮めようとボクっこマンチの手を
ぎゅぅぅ、っと握り返しておりますが
今回のお題とは無関係なので放置しましょう。
「ほら。 初日の出ではありませんが。
見えてきますよ。雪山から見る日の出です」
ギャン!! ギャン!!
静寂の雪山に、雄狐の吠える声が響きます。
夜を越す湖から朝食の湿原へ、
くぅ、くわっくわっ! くぅ、くわっくわっ!
白い鳥が群れを為して、飛んでゆきます。
「良いものでしょう。たまには。こういう経験も」
「はい。とっても」
ひょんなことから転職してきたアテビです。
「アテビ」は前職で貰った仮名でフェイク。
2月いっぱいで新しい、管理局側のビジネスネームが局から貸与され、正式に配属・着任です。
その前に「アテビ」としての最後の思い出でも、どうですか。ツバメが提案して、山に来たのでした。
ところで日の出の反対側の遠いとおい草原で
ミニチュア太陽ドローンの飛行テストなどが始まり
小さな太陽球がプカプカぽわぽわ浮きまして
テストは見事に大成功したのですが
ミニチュア太陽の展開場所が悪かったのか
玉の上でたまたまドラゴンが寝ておりまして、
とつぜん浮いた寝床で飛び起きて、寝ぼけてはてなマークを量産しておりまして、
ドラゴンとしては、ミニチュア太陽ドローンは完全に、迷惑な日の出ムーブになったとさ。
1/4/2026, 3:08:57 AM