『星』
「お前より使える人間なんて、星の数ほどいるんだよ!」
怒鳴り声とともに振り下ろされた拳には、躊躇いなど何一つ感じられなかった。
汚れた灰色のタイルカーペットで辛うじて受け身を取り、片方の手で擦れた唇から流れ落ちるものを受け止めながら、私は上司を睨みつける。
「おい、なんだその眼は?」
私がよろよろと身を起こそうとする度に、横腹を爪先の長い焦茶色の靴で突かれた。
「もう一回聞くぞ。お前のその眼はなんだ?」
この男に逆らえない事を悟った私は仕方なく顔を伏せるのだが、
その瞬間、ずしりと背中に重みがのしかかる。
「…」
奥歯を噛み締めながら、私は背中の重みに逆らわないようゆっくりと体を持ち上げ、
溢れそうになる涙をこぼさぬよう、必死に堪えながら、私は謝罪の言葉とともに深々と頭を下げた。
「…きったねぇなぁ、ゴミクズが」
そう吐き捨てると、上司は私に背を向け去っていった。
ミスをした私が悪いのか、
ミスするほどの量の仕事を押し付けた上司が悪いのか
断らなかった私が悪いのか、
断れない頼み方をする上司が悪いのか。
上司は私より経験があり、私より優秀だ。
しかしながら、
私からすれば上司の実績など関係なく、上司からの指示は絶対であり、それを拒否する社会的道理はないと考える。
その筋を通すため、
私は必死に努力をし、死ぬ物狂いで成長を目指すのだ。
だがその度に私の仕事は際限なく増え続け、
そうして私はまた大きなミスを犯す。
その理不尽のお陰で世の中が成り立っていることに、
彼らはどうして気づかないのか。
私は裂けた唇を噛み締めた。
3/11/2025, 12:01:32 PM